最適なエステ
生まれたての赤ちゃんのようだが、生き生きとして活気がある日本のブランド。
かつて初年代にヨーロッパの人々をあっと言わせたコムデギャルソンやヨウジヤマモトの創造性は、時代が一巡して、こんなふうに肩の力を抜いた、しなやかな形で芽吹いてきたのだな、とちょっと嬉しくなる。
マーケティングの匂いのしない姿勢、伝統とストリートを融合させる発想、そしてどこかに必ず、日本ならではの繊細な手の温もりがある。
大企業に取り込まれなければ世界の市場には出て行かれないのかもしれないが、そんな時代は、もうそろそろ終わりに近づいてきたようにも思う。
日本発ブランドの行き方を、これから大切に見つめていきたい。
パルコごーの姫君ポッテガ・ヴェネタしようしゃミラノに住んでいたとき、スピーガ通りに一軒の繍酒なブティックがあり、いつもウインドウを眺めていた。
そこにはなめし度の革紐を編みこんだ、いかにも柔らかそうなバッグが並び、いつかは店の扉を開けて、そのバッグを手にとって見たい、と思っていた。
当時、草を編みこんだ、そんな美しいバッグや靴は世界中にボッテガ・ヴ子ネタの他にはなく、日本でも母の世代からの憧れも一身に受ける存在だった。
母がミラノに遊びに来たとき、物欲のないひとにしては珍しく「どうしても行ってみたい、あの、編みこみバッグのお店」と言い、わたしたちは初めて、店の扉を開けることになった。
ポッテガ・ヴエネタはその名の通り、ヴェネト州の、ベネツィアからほど近い内陸の街、ヴィチエンツアで生まれたブランドである。
ボッテガとは「工房」といったような意味で、手仕事による手工芸という、イタリアの伝統を体現するネーミングだ。
初めて手にしたそのバッグの革のなめらかさ、やわらかさはまるで絹のようで、母と二人、感嘆したことを覚えている。
そんなバッグと靴の老舗が大きく変化したのは200ー年。
グッチグループの傘下に入り、新しくクリエイティブ・ディレクターにドイツ生まれのオーストリア人、トーマス・マイヤーを迎えて、服を中心とする総合的なブランドに生まれ変わった。
トーマス・マイヤーの仕事を見ていて感動するのは、最初のコレクションから時を経るにしたがって、どんどん洗練されていること。
エルメスやソニアリキエルオムのデザイナーだったというが、就任したときは、誰もが彼を未知数だと思ったに違いセンシティブでほどよいコンサパ感のある女らしい服の代名調になりつつあるのだから。
ない。
それがいまや、男の作る服は、女のからだを美しく見せることに長けている。
ギリシャのローブやイギリスの伝統的衣装のエッセンスを正確に盛り込み、それらを限りなくシンプルにし、かつ古典的なゴージャス感を残す、というバランスの技を駆使して差し出してくるのが、ボッテガの服だ。
襟の聞き加減、ウエストの位置、スカート丈とシルエットの厳密さには、思わずため息がでる。
だから、彼の服は少し恐い。
あまりにも繊細で美しく、また高貴で、女としての自分の野太さが露出してしまいそうになるからだ。
こんな服が似合うのは、暮らしも心も、そしてからだも成熟した女でなければ。
そしてバッグにおいては、優雅なモチーフづかいの上手さといったらない。
シエイクスピアの舞台かヴィスコンテイの映画を思わせるほどの美しく凝ったバッグが、シヨウウインドウの中に飾られているさまは、まるでバルコニーにたたずむ高貴な姫君のよう。
このお姫さまが今後またどのように進化していくのか、王子のような視線で楽しみに見つめていたい。
ワインと肉と手工芸シェルヴィーノエルマンノ今から日年ほど前、雑誌の仕事でフィレンツエに長く滞在していた。
ある日、衝を散策しているとき、一軒の可愛らしいブティックを見つけた。
入り口から覗いてみると、そこには夢のように色鮮やかな服や小物が所狭しと並んでいた。
ミラノに住み、シックで渋いファッションを見慣れていたわたしに、それはタイシルクのような鮮やかな色の布で出来たパンツスーッ、クラシックな刺繍が華新鮮なパンチとなって目に飛び込んできた。
やかに施されたGジヤン、色とりどりの絹のスカーフ。
いまでこそカラフルなアイテムは珍しくないが、まだ世の中にあまりなかった時代に、いったいこの店はなんなのだろう、と惹きつけられた。
もちろん、ただの派手、とは違い、店全体に、どこかフィレンツエらしいトラッドな気分と手工芸的なテイストからなる品のよさが漂っていたしばらくその場の雰囲気に浸り、最後に迷った末、太い草を編んだバスケットのような龍バッグを買った。
ちょっと重たかったけれど、ウエスタン風の草と、留め具の丸い豹柄の金具とのバランスに惚れ込んでしまったからだ。
こんなにワイルドな革づかいに豹柄を組み合わせてくるとはタダモノデハナイ。
その店の強烈な印象は、帰国してからもずっと忘れることはなかった。
それからずいぶんと月日がたち、エルマンノシェルヴィーノとい、つブランドがデビューした。
青山の根津美術館のある通りにショップも出来た。
そのコレクションを見たとき、間違いなく、あのフィレンツェの店だと確信した。
あの日、威厳のある、でも愉しそうなオーラを発していた店主のエルマンノさんは、ー997年にトーニ・シェルヴィーノという企業家と出会い、世界進出を果たしたのだった。
彼の服は、たとえば若き日のソフィア・ローレンが着たら似合いそうな猫型の野性味と華やかさがある。
腰高のマーメイドラインのマキシスカートは、懐かしいジヤカード編みのレースだし、パンナ色のムートンコートは、どうなっているのかわからないほど複雑で繊細なカットワークが随所に施されている。
一つ間違えば装飾過多、トゥーマッチになってしまいそうなところだが、フィレンツェの伝統的なテーラーの基礎があるから、そうはならない。
特に刺繍には凝った素晴らしいものが多いが、エジプトの小さな村に刺繍学校を設アラブ伝統の細やかな手刺繍を施しているという。
フイレンツェの冬は寒く、石畳からしんしんと冷気が立ち上ってくる。
それでも人々はレストランにおしゃれをして集い、ワインを飲み、肉を食べる。
着ることにも生きることにもありったけの情熱を傾けるイタリア人の、パワフルな熱気がデザインから放たれている。
立し、物語るソワレたちラルフローレンラルフローレンでまず見るべきもの、それはソワレだと思う。
表参道の新しい店にはインポートラインのソワレが揃っていると聞き、さっそく見に行った。
純白の、凝ったコットンレースのソワレがある。
コットン、というところがなんとも可愛らしく、清潔な華やかさ。
こんなソワレを着るのには、どんな場面が似合うのかしら。
たとえばニューハンプシャーの海岸沿いに建つ別荘で、夏の聞に親族一同が集まる夕べ。
庭にはトーチに火が焚かれ、ミントジユレップや西瓜のパンチを手に、人々はのんびりと談笑している。
麻のショートパンツをはいた男の子たちと、水色のサテンのリボンを髪に結んだ女の子たちが芝の上を犬と一緒に走り回る。
日が落ちてくると、あたりは濃い群青色に染まり、ソワレの裾をつまんで海岸へと続く階段を下りる。
サンダルは脱ぎ捨てて、裸足で砂浜を歩く。
風が肩に心地よい。
庭のほうから、リュートの美しい音色が聞こえてきた。
あるいは、サテン素材のタータンチェックのソワレ。
これは、アイルランドの古い城で行われる、ひいおばあさまの誕生会に。
けんたんか暖炉ではりんごの木が燃えて、食堂には健暁家の一族のためにジピエが用意されてしゅすいる。
このソワレにはハイヒールより紋章を刺繍した嬬子のミュールが似合うだろう。
遠くで微笑む長身のいいなずけ。
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そこにはなめし度の革紐を編みこんだ、いかにも柔らかそうなバッグが並び、いつかは店の扉を開けて、そのバッグを手にとって見たい、と思っていた。
当時、草を編みこんだ、そんな美しいバッグや靴は世界中にボッテガ・ヴ子ネタの他にはなく、日本でも母の世代からの憧れも一身に受ける存在だった。
母がミラノに遊びに来たとき、物欲のないひとにしては珍しく「どうしても行ってみたい、あの、編みこみバッグのお店」と言い、わたしたちは初めて、店の扉を開けることになった。
ポッテガ・ヴエネタはその名の通り、ヴェネト州の、ベネツィアからほど近い内陸の街、ヴィチエンツアで生まれたブランドである。
ボッテガとは「工房」といったような意味で、手仕事による手工芸という、イタリアの伝統を体現するネーミングだ。
初めて手にしたそのバッグの革のなめらかさ、やわらかさはまるで絹のようで、母と二人、感嘆したことを覚えている。
そんなバッグと靴の老舗が大きく変化したのは200ー年。
グッチグループの傘下に入り、新しくクリエイティブ・ディレクターにドイツ生まれのオーストリア人、トーマス・マイヤーを迎えて、服を中心とする総合的なブランドに生まれ変わった。
トーマス・マイヤーの仕事を見ていて感動するのは、最初のコレクションから時を経るにしたがって、どんどん洗練されていること。
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ない。
それがいまや、男の作る服は、女のからだを美しく見せることに長けている。
ギリシャのローブやイギリスの伝統的衣装のエッセンスを正確に盛り込み、それらを限りなくシンプルにし、かつ古典的なゴージャス感を残す、というバランスの技を駆使して差し出してくるのが、ボッテガの服だ。
襟の聞き加減、ウエストの位置、スカート丈とシルエットの厳密さには、思わずため息がでる。
だから、彼の服は少し恐い。
あまりにも繊細で美しく、また高貴で、女としての自分の野太さが露出してしまいそうになるからだ。
こんな服が似合うのは、暮らしも心も、そしてからだも成熟した女でなければ。
そしてバッグにおいては、優雅なモチーフづかいの上手さといったらない。
シエイクスピアの舞台かヴィスコンテイの映画を思わせるほどの美しく凝ったバッグが、シヨウウインドウの中に飾られているさまは、まるでバルコニーにたたずむ高貴な姫君のよう。
このお姫さまが今後またどのように進化していくのか、王子のような視線で楽しみに見つめていたい。
ワインと肉と手工芸シェルヴィーノエルマンノ今から日年ほど前、雑誌の仕事でフィレンツエに長く滞在していた。
ある日、衝を散策しているとき、一軒の可愛らしいブティックを見つけた。
入り口から覗いてみると、そこには夢のように色鮮やかな服や小物が所狭しと並んでいた。
ミラノに住み、シックで渋いファッションを見慣れていたわたしに、それはタイシルクのような鮮やかな色の布で出来たパンツスーッ、クラシックな刺繍が華新鮮なパンチとなって目に飛び込んできた。
やかに施されたGジヤン、色とりどりの絹のスカーフ。
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フイレンツェの冬は寒く、石畳からしんしんと冷気が立ち上ってくる。
それでも人々はレストランにおしゃれをして集い、ワインを飲み、肉を食べる。
着ることにも生きることにもありったけの情熱を傾けるイタリア人の、パワフルな熱気がデザインから放たれている。
立し、物語るソワレたちラルフローレンラルフローレンでまず見るべきもの、それはソワレだと思う。
表参道の新しい店にはインポートラインのソワレが揃っていると聞き、さっそく見に行った。
純白の、凝ったコットンレースのソワレがある。
コットン、というところがなんとも可愛らしく、清潔な華やかさ。
こんなソワレを着るのには、どんな場面が似合うのかしら。
たとえばニューハンプシャーの海岸沿いに建つ別荘で、夏の聞に親族一同が集まる夕べ。
庭にはトーチに火が焚かれ、ミントジユレップや西瓜のパンチを手に、人々はのんびりと談笑している。
麻のショートパンツをはいた男の子たちと、水色のサテンのリボンを髪に結んだ女の子たちが芝の上を犬と一緒に走り回る。
日が落ちてくると、あたりは濃い群青色に染まり、ソワレの裾をつまんで海岸へと続く階段を下りる。
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風が肩に心地よい。
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あるいは、サテン素材のタータンチェックのソワレ。
これは、アイルランドの古い城で行われる、ひいおばあさまの誕生会に。
けんたんか暖炉ではりんごの木が燃えて、食堂には健暁家の一族のためにジピエが用意されてしゅすいる。
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